プジョーの基幹モデルである307の後継車種、「308」のデビューを数週間後に控えたこの時期に、その308をベースとし、猛獣のようなアグレッシブなスタイリングが与えられたコンセプトクーペ「308 RC Zコンセプト」なる高性能モデルが登場。フランクフルトショーでベールを脱ぐ。
RCと名の付くとおり、スポーティに仕上げられたルックスは極めて特徴的。フロントセクションこそ308の面影を強く残すものの、ラウンドしたルーフから滑らかにリアエンドまで続くボディラインは、このモデル独特のものだ。
そのルーフは何とカーボン製。しかもセンター部から2つに湾曲しており、エアロダイナミクス効果を高めているという。またリアウインドウはポリカーボネートを使用するなど、徹底した軽量化が図られている。
それと前後フェンダーアーチをより強調し、オーバーハングを切り詰めたデザインにより、全体的な印象はどことなく先代アウディTTを思い起こさせるし、車名が関係しているとは思えないが、ウエストラインから上の部分はフェアレディZを彷彿させるものだ。とはいえ、低いルーフにボリューム感のあるフロントとリアの造形は、充分なインパクトを持っている。
一方インテリアには、308をベースとしつつも真新しいテイストがふんだんに盛り込まれているようだ。ダッシュボードやドアのトリムにはレザーが施され、センターパネルやメーターには艶のあるブラックを採用、クロームもふんだんに用いられた。またバケットタイプとされたシートは、アルミ製のホールが表面に奢られ、シートバックやヘッドレストのデザインもスポーティな雰囲気を醸し出している。
エンジンは、207にも搭載されているBMWとPSAプジョーシトロエングループの共同開発となる1.6リッターツインスクロールターボユニットを採用しつつも、最高出力は218hpを発生。最大トルクも28.6kg-m(オーバーブースト時は30.6kg-m)というシリーズ最強のスペックを誇る。
トランスミッションは6速MTが組み合わされる。トップスピードは235km/h、0-100km/h加速は7.0秒といったパフォーマンスを発揮しながらも、CO2排出量は160g/km、燃費も欧州の規定で6.7L/100kmと、環境にも配慮されている。
またそのスペックに対応すべく、足回りにも手が加えられている。サスペンションでは、フロントにアルミのアームを採用し、軽量化に貢献させているとともに、リアでは308と同じトーショーンビーム式としながらも、トレッドを56mm拡大。ブレーキには360mmの大径ディスクが奢られている。また19インチのホイールには245/40R19のタイヤが組み合わされ、グリップ性能も申し分なさそうだ。
プジョーお得意のクーペカブリオレ308CCのデザインコンセプトっぽい匂いをプンプンさせている308 RC Zコンセプトだが、4人乗りじゃないことから308CCとは別物なのかな?
207、308など新プジョーは、日本では残念ながら価格を上げすぎたため、受け入られないと思われる。実際、同価格ならドイツ車のほうが断然いいと思う。
プジョーに求められる外車像は、日本車的な安物ではなく、ドイツ車的な高級でもないという中間だと思う。